第2回「メンタリングの本質を考える」①

 ・メンタリングのテーマ

 

【メンタリングのテーマ】

 

企業におけるメンター制度で実施されるメンタリングは、「メンターとメンティーの対話」と考えて差し支えないと思います。米国で生まれたメンタリングは、仕事におけるキャリア形成が主な目的ですが、日本国内企業におけるメンタリングは、仕事だけではなく、職場生活やプライベートまでと幅広いテーマが求められています。というのも、国内の企業では、社会人や組織人としては未成熟な新卒新入社員がメンティーになることが多く、その社員の定着が目的であるという背景があります。メンティーの公私にわたる悩みを解決・軽減するための相談、いわば、日本的なメンタリングが求められているのです。

 

そのようなメンタリングにあって、何のテーマを取り上げたらよいのでしょうか。

大きくは以下の3つに分けて考えると良いでしょう。

 

「今、悩んでいること」~現在

職場や家庭問わずに、「仕事が覚えられない。」「コミュニケーションが取りにくい人がいる。」「家庭内のトラブル」など、真剣に悩んでいることが、第一に挙げられます。職場では、プライベートのことは話しにくいテーマだと思いますが、特に、未成熟なメンティーに対しては、生活全般の助言は必要です。これは、国内企業のメンタリングの特徴的なテーマでもあります。

 

「将来について」~未来

キャリア形成と置き換えてもいいと思います。職場の仕事のレベルアップにと留まらず、どのような仕事をしたいのか、どのような人間になりたいのかなど、一企業の枠を越えることまで及びます。人事担当者にとっては、将来について考えることは、離職につながりかねないと心配される向きもあると思いますが、メタリングにとっては、避けることのできないテーマです。むしろ、避けることは、若年社員の支持を失い、結果的に組織を離れることになりかねません。

 

「経験したこと」~過去

メンティーにとってメンターの体験談は、公私を問わず、大変参考になります。一方、メンターにとっても、メンティーの体験談は、新たな考えを知る良い機会となります。

 

また、体験したことを共有することは、パートナーに対して関心が高まり、信頼関係が築かれていきます。加えて、自分自身にとっても、自分がどのような人間かを再認識できるという意味でも大変意義のあることです。

 

                       ※本文は人材開発情報誌『企業と人材』5月号に掲載されました。