第2回「メンタリングの本質を考える」②

 ・メンタリングに必要なスキル
 ・メンタリングと他のコミュニケーションスキルとの違い

 

 

 

【メンタリングに必要なスキル】

 

上記の「現在・未来・過去」の3点を正直に話すことは、余程、自己開示力のある人間でない

と、なかなか難しいことです。そこで、有意義なメンタリングには、メンターとメンティーの「何でも話せる関係」=「信頼関係」が必要不可欠なのです。さらに、その話を導くための「信頼関係をつくるコミュニケーション・スキル」=「メンタリング・スキル」が必要になってきます。それを3つに要約すると下図のようになります。

 

              メンタリングに必要なスキル・スタンス

 

              ①   相手の話しやすい雰囲気をつくること

            ②   自分のこと(経験、考え、思い、気持ちなど)を素直に伝えること

            ③   相手のこと(経験、考え、思い、気持ちなど)前向きに受け容れること

 

以上のスキル(技能)やスタンス(態度・姿勢・心構え)を、メンターに必要なスキル・スタンスと言い換えてもいいでしょう。すべては、コミュニケーションの基本ともいえるものですが、実践することは意外に難しいことかもしれません。メンター制度を導入する多くの組織においては、以上のスキルをメンターやメンティーが習得し、そのスタンスを理解するための研修を実施しています。さらに、そのようなスキル・スタンスを発揮することを効果的にリードする教材を活用しメンタリングを行っています。(メンタリングのための研修については、後の回に詳しく解説します。)

 

このスキル・スタンスの一番のポイントは、メンター自身の体験や気持ちを、できるだけありのままに、率直に、素直に話すことです。それも、仕事や職場のことなどのテーマよりは、プライベートのことから話すと自然な会話につながり、テーマの幅も広がります。また、そのことで、メンティーはメンターに対し、親近感が湧き、自分のことも素直に話すことができるようになります。しかし、メンターによっては、それが自慢話になったり、説教になったりしてしまうことがあります。それではメンティーの口を閉ざしてしまうので、注意が必要です。仕事の話をするのであれば、成功談よりは、失敗談の方を優先すると良いでしょう。

 

 

 

【メンタリングと他のコミュニケーション・スキルとの違い】

メンタリングとコーチング、カウンセリングやOJTOn the Job Training)との違いを、よく質問されます。違いを端的に言うと下図の3つになります。他のスキルでは多くは、下位者の成長が目的ですが、メンタリングは、メンティーとメンターの成長のために行うものです。2000年代半ばでは、メンターの成長に力点を置いて制度を導入する企業も多かったです。

 

メンタリングの特徴(他のスキルとの違い)

 

          ①   下位者(メンティー・部下など)のためだけにあるのではない。メンターの成長も大きい.

          ②   目標や課題を決めたり、成果を求めたりするものではない。

 

          ③    特別な専門技術の習得が必要なわけではない。

 

また、メンタリングは、自由な対話です。逆にテーマや目標を決めてから始めることはメンタリングの良さを減らすことになりかねません。できれば、対話の中から、自分なりの目標や課題を創ることが理想です。

メンタリングでは、素直で率直なコミュニケーションが必要です。コーチングやOJT指導の基礎として、メンタリングを学ばせている組織もあります。メンタリングのスキルやスタンスは、マネジメントや商談、ミーティングなど、どのような場面でも活用できますし、それらを効果的に進めるためにも、必要不可欠なことともいえるのではないでしょうか。

 

                        ※本文は人材開発情報誌『企業と人材』2019年5月号に掲載されました。