メンターシップ :一人ひとりのキャリアを親身になって応援するスタンス

 

メンターシップとは、

 

「 メンティーや部下など、周囲の人間のキャリア(生き方)を、

親身になって応援するスタンス」

 

 

 メンターシップとは、「メンバーのキャリアを親身になって応援するスタンス(姿勢・態度・心構え)」です。そのためには、自由にコミュニケーションができる雰囲気が必要です。自由なコミュニケーションが取りにくい職場にあっては、「話しやすい雰囲気をつくるスタンス」が、メンターシップのベースです。

 

 メンタリングのメインテーマは"キャリア"です。メンタリングにおける"キャリア"とは、組織を超えたものであり、プライベートまで含めた、言わば“人生の歩み方”と捉えます。そのようなキャリアを、“親身になって応援するスタンス”が、メンターシップです。“組織が”ではなく、“個々が”キャリア形成していく必要のある時代では、必要なスタンスです。

 

 人事の立場では、「組織を超えたキャリアを考えること」とは、「離職促進につながる」と考える向きもあるでしょうが、組織内でキャリアを完結することは、今の時代では、困難と言わざるを得ません。メンターシップは、管理職に必要なスタンスだけではなく、組織経営の立場においても、必要不可欠な考え方と言ってもいいでしょう。

 

 

メンターシップを必要とされる人

 

●メンター

●メンターを指導する立場の人

●メンター制度の担当者・責任者

●マネージャー、チームリーダー

●人事・教育部門の担当者

 

 

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メンターシップの必要な背景

 

 1.コミュニケーションの少ない職場 

  

 コミュニケーションの少ない職場の現状は、メンタリングやメンター制度が求められる背景とも言えるものです。職場のコミュニケーションにもいろいろな種類があります。ここでいうコミュニケーションは、ホウレンソウに代表されるビジネス・コミュニケーションではなく、メンバー同士の“関係づくり”のためのコミュニケーションです。わかりやすい表現で言えば、雑談的なコミュニケーションです。コロナ禍で、人との交流が制限されるなかで、“雑談”がいかに必要だったか実感した人は多いのではないでしょうか。

 キャリアを話し合うメンターシップでは、職場などで、メンバーが、自由に話しやすい雰囲気が、そのベースにあります。関係づくりのコミュニケーションの少ない職場では、マネージャーやチームリーダーが、メンターシップを持ってメンバーと接することは、これからは、ますます注目されるスタンスです。  

 

 

2.自立したキャリア形成が求められている

 

 終身雇用制が維持できない企業が多くなり、企業が従業員のキャリアを保証する時代は過去のものになりつつあります。また、価値観が多様化するなかでは、若い社員を中心に、組織内でキャリアを全うする意識は、ますます少なくなっていくでしょう。この流れは、今後も、さらに色濃くなってくると考えられます。そのような中では、管理職としては、組織中心のキャリア形成の視点で、部下をマネジメントすることは困難と言えます。メンバー一人ひとりに対し、組織を超えた人生全体に目を向けたキャリア形成を応援する視点で、マネジメントする姿勢が必要です。それが結果的に、その組織へのエンゲージメントを高め、仕事のモチベーションも高めることにもつながるのです。

 

 

メンターシップを形成するスキル

 

 

1.話しやすい雰囲気をつくるコミュニケーションスキル

 

2.キャリアに対する理解

 

  

1.話しやすい雰囲気をつくるコミュニケーションスキル

 

 メンタリングは、どのようなテーマでも、お互いに自由に話し合うことです。その雰囲気づくりに大切な態度は、以下の5点です。

  • 「毎日の明るいあいさつ笑顔
  • 「相手の話しやすい聴き方」
  • 「自分自身の気持ちや意見を素直に伝えること」
  • 共感する態度」
  • 「いろいろな意見を前向きに受け止めること」

 メンター研修や、メンタリング研修では、必ず取り上げられるものです。メンタリングの基本的態度です。 それは、メンターシップのベースですし、マネジメントでも必要なコミュニケーションスキルです。 

  

2.キャリアに対する理解

 

 メンタリングは、自由なテーマで話し合うことですが、一番のメインテーマは、“キャリア”です。一般的には、職業や仕事にまつわるものとのイメージが強いですが、仕事とプライベートは明確に区分けできず、お互いに影響し合っています。また、仕事と言っても、生業(なりわい)だけではなく、家事やポランティア活動も仕事です。ですから、組織内活動だけで、キャリアを語ることは、片手落ちと言えるでしょう。

 キャリアは、職場、職場外の生活を含めた“人生そのものの歩み方”と言ってもいいものです。少なくとも、メンターシップを発揮するためには、そのようにキャリアを捉える必要があります。キャリア論を学習することは、悪いことではありませんが、メンターシップでは、「キャリアは生き方」と捉えることが最低限必要になります。

 

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メンターシップとマネジメントの関係

 

 メンターシップは、各メンバーの思いや考えを、話しやすい雰囲気をつくることがベースです。理想は、メンバーの方から、リーダー・マネージャーに対して、日頃のやりにくさや悩みなどを相談してくれる雰囲気を作り出すことです。そうなれば、マネジメントはとてもやりやすくなります。

 

  これからは、ますます、メンバー一人ひとりのキャリアの歩み方が多様になっていきます。誰もが、その職場の優先順位が高いわけではありません。一組織内だけの“キャリア”を考えるだけでは、各メンバーのモチベーションは保てなくなるかもしれません。メンバー一人ひとりに対して、職場以外のことも親身になって考えてあげなければ、チームワークは効果的に運営できません。その観点で言えば、各メンバーの人生や生活の情報も共有することも必要になってきているのかも知れません。

 

 これからのマネージャーやリーダーには、メンバーの人生や生活を親身になって考えてあげられるような「メンターシップ」がますます必要になっていきます。

 

 

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