日本メンター協会にはメンター制度の導入、あるいは新たに導入を考えている企業・団体の制度ご担当の方々からのご相談をお寄せいただきますが、そのなかで散見されるのが、
他の会社が導入していて評判が良いようなので当社でも入れてみよう
とりあえず良さそうなので導入してみよう、
など、目的が曖昧なままメンター制度を取り入れること自体が目的になっている
というケースです。
メンター制度に限らず、組織において新たな制度を導入するにあたり、まず第一歩としてその目的をしっかりと定めることが欠かせませんが、案外抜け落ちがちな点でもあります。
当協会では、毎月人事担当や制度担当の方々を対象とした「メンター制度説明会」を開催しておりますが、その際にご参加の方々にご協力をいただいておりますアンケートの結果から、どのような目的でメンター制度の導入、あるいは検討しているのかを今回から3回にわたりご紹介したいと思いますので、ご参考にしていただければ幸いです。
下記はアンケートにおける質問肢「メンター制度の目的をお選びください」の回答を集計した結果、上位に上がってきた項目を挙げております。
社員定着促進 65.8%
メンターの成長 47.5%
メンティーの成長 47.5%
職場の活性化 37.5%
メンタルヘルス対策 31.7%
採用対策 12.5%
女性社員活躍推進 8.3%
技術・知識の伝承 5.4%
※期間2023年8月~2025年9月 全体件数240件 複数回答含む。
メンター制度導入の目的として最も多いのが、特に新卒新入社員をはじめとした若手社員の定着促進です。
従前より最も多い理由ではありましたが、近年は採用市場が「売り手市場」で人材確保が厳しくなっていることもあり、コストをかけて採用した新入社員の早期離職を防ぐ対策として、メンター制度への関心がさらに高まっています。
また、即戦力として採用した中途(キャリア)採用者が職場に馴染めず短い期間で退職してしまう、といった課題への対策としてメンター制度を導入、検討するケースも増えてきており、ひとことに社員の定着促進といってもその対象とする幅が拡がってきているとも言えます。
「定着促進」に次いで、「メンターの成長」と「メンティーの成長」が同率で並んでいるのは非常に興味深い点です。
当協会では、メンタリングを「楽しみながら、自由な対話を通じて共に成長すること」と定義していますが、これはメンター制度が上位下位の明確な、業務上の知識技能の伝達や指導ではなく、仕事やプライベートを問わない自由な対話=メンタリングを通してメンターとメンティーが共に成長する場として期待されているのを示している、とも言えるのではないでしょうか。
今回はメンター制度導入の目的上位8つのうち、「社員定着促進」「メンターの成長」「メンティーの成長」について触れましたが、次回は「職場の活性化」「メンタルヘルス」について考えてみたいと思います。
日本メンター協会サイト内にメンター制度の導入事例をご紹介しておりますので、是非ご参照ください。
また、制度導入に際してのご相談やご質問は、日本メンター協会のご相談窓口までお気軽にお寄せください。
【メンター制度無料説明会のご案内】
メンター制度導入・運営のご担当、人事・教育ご担当の方々や、経営者・マネジメント層の方々を
対象としたメンター制度無料説明会を毎月開催しております。メンタリング・ワークの体験を通じて
メンタリングを体感的に理解することができます。是非ご参加ください!