メンタリング(mentoring) :「自由な対話」

 

 POINT1 自由な対話であること

職場での対話というと、仕事にフォーカスしてしまいそうですが、プライベートなことも含めて、感じたこと、思ったことを何でも話し合えることがポイントです。

 

 POINT2  楽しめること

何でも話し合えるためには、お互いに楽しめる時間であることが必要です。メンタリングを続けることで深まります。続けるためにも、楽しめる時間にしたいものです。

 

 POINT3 共に成長すること

 メンタリングは、メンティーのためだけのものではありません。メンターの成長も目的となっています。むしろ、「メンターの成長の方に効果があった」とするアンケート結果もあるほどです 

  

 メンタリングの本来の意味は、メンターのメンティーに対する「支援全般」を指していました。対話以外でも、例えば、書籍や教材の紹介、人・団体への紹介や推薦、集会やイベントへの同行、単なる訓練や教育など全てを含んでいました。

しかし、特に、日本国内における組織のメンター制度においては、「メンターとメンティーの対話」を指すようになりました。

 

【メンタリングに必要なスキル】

メンタリングでは、何でも話し合えるような「信頼関係をつくるコミュニケーションスキル」が求められます。ポイントは以下の4点です。

 

・素直に、誠実に話せること

・気持ちを通じ合わせて聴くこと 

・異なる意見でも受け容れる態度

 ・笑顔とあいさつ

 


 

1.自然なコミュニケーションが一番大切

 

 いずれも、基本的なコミュニケーション・スキルです。メンタリング・スキルは、「どのような場面でも必要とされる、基本的なコミュニケーション・スキル」と言えます。 

 メンタリングの場で求められるものは、周囲に誇れるような実績や経験、知識ではなく、「今の自分や過去の経験」を「誠実に語る」こと、相手の「素直の気持ちや思い、考え」を前向きに受け容れる」ことが求められます。 

 また、メンタリングの始まりには、お互いに敬意をもって、明るい「あいさつ」から始め、終わりには、感謝の気持ちを込めて「お礼」を伝え合うことは大切なことです。また、基本は「笑顔」で接することが必要不可欠です。これは、普段のコミュニケーションと同様なことでもあります。

 

 

 

2.特別なスキルについて

 

メンタリングにおいて、カウンセリングスキル、コーチングスキル、ティーチングスキル、フィードバックスキルなどのスキルも有用ですが、必ずしも必要というわけではありません。

 場合によっては、スキルに振り回される場合もあり、自由なコミュニケーションが阻害されることもありますので、注意が必要です。

 あえて必要と考えられるものは、キャリアに対する理解がありますが、それよりも、「基本的なコミュニケーションができているか」の方が、より大切なスキルです。

以下に、他のスキルとの相違点をまとめましたので、ご参考ください。

 

 

3.他のコミュニケーションとの相違点

 

【ティーチングスキル

教える、指導するということです。スキルが未熟な社員に対し、先輩や上司がそのやり方や知識を教え授けることです。OJTでは、多く活用する手法です。メンタリングでも、相手方から、教え乞われれば、結果的にティーチングをすることになります。信頼関係のあるメンタリングペアであれば、相手に必要と思えば、ティーチングする場面も普通に出てくるものです。

 

コーチングスキル】

コーチングは、「質問のスキル」であり、対話の場で、コーチがクライエントに対して、質問を投げかけることで、気づきを促したり、課題を整理に導いたりすることです。従来の指導法に比べ、”教える”というよりは、自発性を促すコミュニケーションの取り方、指導法と言えるものです。組織では、上司が部下の目標管理の面談などでよく使われる手法です。メンタリングでも、活用できるスキルです。

 

【傾聴スキル】

相手の話を事柄だけを理解するのではなく、相手の気持ちに寄り添い、共感的に聴くことです。メンタリングでは、もちろんのこと、コーチングやOJT、コーチングでも基本的に求められるスキルです。

 

 

【OJT】

OJTは、「仕事をしながら、そのスキル・知識を教えること」です。メンター制度を業務指導の意味合いで導入するのであれば、同様に考えても差し支えありません。新入社員のメンターに対して、「仕事以外の相談に乗る」「職場生活全般をフォローする」というタスクも担ってもらうのであれば、よりメンタリング的なイメージになります。

 

【1on1(ワンオンワン)】

1on1もメンタリング同様、自由な対話がベースです。その大きな違いは、メンター制度のペアは、その導入の目的に適うのであれば、どのような組み合わせでも構いません。それに対し、1on1は、上司と部下の関係が基本であり、マネジメントの機会の1つと考えられています。制度としては、メンター制度の対話は、月に1回、60分程度が多いのに対し、1on1は、月に数回、30分程度で構成することが多いです。

 

【カウンセリング】

カウンセリングとは、相談や助言という意味ですが、メンタリングと比較する場合は、クライエントの不安や悩みを、専門知識を持ったカウンセラーが、その話や気持ち受け止め、マイナスの感情を低減し、前向きになるよう支援することです。メンタリングでは、カウンセリングの知識やスキルまでは、求めませんが、結果的にカウンセリング的な効果が得られることは、よくあることです。

 

【メンタリングスキル】

メンタリングスキルには、特別なものはありません。ごく自然に対話をすればいいだけです。

敢えて必要な要素は、二人の信頼関係を築くようなコミュニケーション・スキルが求められます。

それは、「傾聴」「気持ちに焦点を当てる」「多様的なものの見方」です。

「傾聴」のように、共感的に聴くことも求められますが、メンタリングでは、相手に共感することに加え、気持ちを表すことを大切にします。お互いに気持ちを通じ合わせることは、信頼関係を築くうえで大切だからです。また、自分のものの見方に固執せず、様々なものの見方を受け入れ合えなければ、相手から信頼はされないでしょう。メンタリングは、信頼関係をつくるコミュニケーションと言えるものです。ですから、あらゆるコミュニケーションの場やスキルのベースと言ってもいいでしょう。

 

メンタリングスキル相関図 

【メンタリング教育について】

 メンタリングの教育項目は以下のように紹介しています。

 

① メンタリングに対する理解と必要なスタンス(態度・姿勢・心構え)

② コミュニケーションの基本スキルとスタンス(態度・姿勢・心構え)

③ 模擬メンタリングの実施によるペアの信頼関係醸成

 

 基本的には、メンターとメンティーのペアの参加を基準としています。人事担当者から、「メンターに対し、メンタリングスキルを教えて欲しい」との声を聞きますが、まずは、コミュニケーションの基本(スタンス=態度・姿勢・心構え)を確認することが一番大事です。

その基本ができてなければ、効果的なメンタリングは成り立ちません。

 また、ペアの「何でも話せる関係」を育めば、自然なコミュニケーションはできるようになります。「2人の信頼関係を醸成すること」が、よいメンタリングの早道です。 

 

※ご参考になるメンタリング・スタート研修の案内はこちら→

 

 

 また、メンタリング では、「何を話したらよいかわからない!」という声が、よく聴かれます。多くは、まだ、何でも話し合えるような信頼関係ができていないことが考えられます。また、コミュニケーション・スキルが、まだ拙いペアにも、そのような傾向がみられます。上記のように、教育研修の必要があると考えられますが、メンタリングのテーマについては、「メンタリングのテーマ」について、詳しく紹介しているページがありますので、そちらを参考にしてください。

 

 

【メンタリング教材について】

 メンター制度で行われるメンタリングでは、特に当初は、自然で、効果的なメンタリングは行われにくいと思います。それは、メンター制度では、当初は、メンターとメンティーの間に信頼関係ができていない場合が多いからです。その場合は、教材を活用してメンタリングを進めていくのもいいでしょう。最初は、教材に則り進めていき、自由に話し合えるようになった段階で、通常のメンタリングを行うようにするといいでしょう。

  日本メンター協会の監修した教材の紹介はこちら→

 

 

 

 

【オンライン・メンタリングについて】

 「働き方改革」や「新型コロナウイルス感染拡散防止」により、テレワークが広がっています。そこで、オンラインによるコミュニケーションが多くなってきました。メンタリングにおいても、オンラインによる実施も選択肢の一つと考えられます。また、同時に、遠隔地にいるメンター・メンティーとのメンタリングが可能となったとも言えます。もちろん、対面によるメンタリングの素晴らしさは、その通りなのですが、オンラインによるメンタリングにチャレンジすることも必要なことだと思います。

 

 「オンライン・メンタリング」の詳しい解説はこちら→

 


 

【日本メンター協会】

            

Tel 03-6264-1191           

Mailm-jimukyoku@mentor-kyoukai.jp

 

 

 



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