◆【第95号】2025.12メンター制度を導入する目的について(後編)                ~メンター制度説明会アンケートより~

 前回前々回と連続して当協会で毎月人事担当や制度担当の方々を対象として開催している「メンター制度説明会」のアンケートの結果から、企業、団体がどのような目的でメンター制度の導入、あるいは検討しているのかをご紹介してまいりました。

 

 最終回となる今回は、「採用対策」「女性社員活躍推進」「技術・知識の伝承」について考えてみたいと思います。   

  まず「採用対策」についてですが、主に新卒就活生が企業選びの際に重視するポイントに関わります。

メンター制度説明会にご参加される制度ご担当の方々の中には、新卒の採用担当も兼ねておられる方々も多くいらっしゃいます。お話を伺うと、近年の新卒就活生は「入社した後のサポート体制」に対しても強い関心を示す傾向に あるようです。

 それもあってか、働きやすい環境づくりの一環として「メンター制度を導入している」ことが、就職ガイダンス等の際に、就活生に対するアピールポイントの一つになるとのお声もよく耳にするようになりました。

 

 「女性社員活躍推進」を目的としたメンター制度の導入も増加傾向にあります。

 

 今より少し前の2010年代前半、厚生労働省では「女性活躍推進」を目的としてメンター制度を推進していました。模範となる女性社員をロールモデル(お手本とする社員)としてのメンターとし、育成しようとする女性社員をメンティーとして、その活躍を支援・推進する試みでした。

その目的には大きく2つあり、結婚・出産・育児などを理由に、退職する女性社員を少なくし、勤務を継続する目的と、女性管理職を育成し登用する目的の2つでした。

 近年においては、上記のような女性社員に対する支援や育成から、性別に限らず人種、宗教、年齢、学歴などに よる差別をなくし、ダイバーシティ=「多様性」を受け容れ合うことの大切さを学ぶ目的に広がってきています。

 

 「技術・知識の伝承」については、OJTをはじめとした上司や先輩から後輩への業務上の指導や伝達と共通する部分もありますが、メンタリングにおいてはメンター自身の経験や実体験、その時率直に感じたことなどの周辺情報や 背景も含めたものを、一方的な指導ではなくメンティーに対して「こういう見方もあるよ」とったように参考として伝える、というイメージです。

 また、メンタリングを通じて新卒だけではなく中途採用者等も含めた新たに職場や組織に加わる者に対して技術・知識そのものだけではなく、文化や風土も含めて共有することをも期待しているとも言えるのではないでしょうか。

 

 今回まで3回にわたり「メンター制度説明会」のアンケートの結果から、企業、団体がどのような目的でメンター制度の導入、あるいは検討しているのかをお伝えしてまいりました。是非今後の制度導入検討、あるいは見直しの際の参考にしていただけましたら幸いです。 

 

 

 日本メンター協会サイト内にメンター制度の導入事例をご紹介しておりますので、是非ご参照ください。

また、制度導入に際してのご相談やご質問は、日本メンター協会のご相談窓口までお気軽にお寄せください。

 

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