◆【第98号】2026.4若手社員が抱えている働くこと や職場に対する不安について(前編)

  ― 統計データから見えてくる若手社員の不安の構造 ―

  

  4月は、新たに社会人としての一歩を踏み出す新入社員を迎えるとともに、異動なども重なり、職場における人の動きが大きくなる時期です。こうした環境の変化が重なる時期には、新たに迎えた人材が職場に定着していくかどうかが、あらためて意識されるのではないでしょうか。

 

 もっとも、こうした定着の問題は、この時期に限ったものではありません。採用環境の変化や人材確保の難しさが続く中で、とりわけ新入社員をはじめとした若手社員の定着や育成は、多くの企業、団体において継続的に強い関心が寄せられているテーマであると言えます。

 実際に、弊協会が開催しているメンター制度説明会に参加される企業、団体の制度担当の方々にご協力をいただく事前アンケートの回答を見ると、メンター制度の導入や検討の理由の凡そ7〜8割が「若手社員の定着の促進」となっております。 

 

 では、若手社員の定着を考えるうえで、何に目を向ける必要があるのか。その一つの手がかりとして、若手社員が抱えている働くことや職場に対する不安の中身を理解することが挙げられるのではないでしょうか。

 

 若手社員については、「●●世代の社員は…」といったような、若い世代に対するステレオタイプな見方から世代論的な議論まで、さまざまな見方が存在しますが、今回はそれらを前提とするのではなく、実際にどのような不安が挙げられているのかを統計資料を基に見ていきます。

 

 もっとも、こうしたデータはあくまで一つの見方に過ぎません。重要なのは、若手社員一人ひとりにシッカリと向き合い、どのような状況にあるのか、またどのような不安を抱えているのかに目を向けることです。

 その意味で、本記事で取り上げているようなデータや周辺情報は、相手に関心を払い、理解を深めていくための一つの手がかりとして、参考にしていただければ幸いです

 不安の中身に目を向けることが職場の中で若手社員との関わりを考えるうえでの一つのヒントとなり、それが結果として定着にもつながっていきます 

 

 今回のメンタリングニュースでは、令和五年に実施された内閣府の「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査」をもとに、若い世代が働く上においてどのような不安を抱えているのかを整理し、そのうえでメンター制度やメンタリングの果たす役割について考えていきます。

 

出典)内閣府「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査(令和5年)」

https://www.cfa.go.jp/policies/kodomo-research

 

 ■ 若手社員の抱く働くことに関する不安について

 

 同調査では、働くことに関する不安について、「不安」「どちらかといえば不安」「あまり不安ではない」「不安ではない」の4段階で回答が収集されています。本稿では、不安を感じている層の傾向を把握する一つの見方として、「不安」および「どちらかといえば不安」を合算した割合をもとに整理しています。

 結果は以下の通りです。

 

              1位:きちんと仕事ができるか(72.6%)

              2位:十分な収入が得られるか(71.9%)

              3位:人間関係がうまくいくか(70.4%)

              4位:就職できるか・仕事を続けられるか(69.3%)

              5位:社会の景気動向はどうか(67.7%)

              6位:働く時間が長すぎないか(64.7%)

              7位:職場環境(設備・研修)が充実しているか(63.1%)

              8位:健康・体力面はどうか(61.9%)

              9位:業務時間外に仕事が発生するか(59.7%)

                10位:会社の将来はどうか(60.3%)

                                                                11位:子育て後に復職できるか(58.8%)

                                                                12位:何歳まで働けるか(58.8%)

                                                                13位:解雇されないか(58.4%)

                                                                14位:転勤はあるか(52.9%)

 

※本記事における「若手社員」は、同調査の年代区分(15〜19歳、20〜24歳)をもとに、新卒(高卒・大卒)世代

 に概ね相当する層として整理しています。

 

■ 不安の中身は何か

 

 若手世代は、ともすると収入面への不安が最も大きいようなイメージもありますが、実際には「きちんと仕事ができるか」がそれを上回り、最も高い項目となっています

 

 近年の若手社員は、人手不足や採用環境の変化の中で、早期から一定の役割や成果を求められる状況もあり、待遇面もさることながら、むしろ「求められている役割や期待に応えられるか」といった不安を抱いている新入社員も少なくないことが見て取れます。

 また、「人間関係がうまくいくか」が上位に位置しており、対人関係に関する不安も高い割合で見られることがうかがえます。

 

 このことから、金銭的な処遇面だけではなく、「仕事ができるか」や「人間関係がうまくいくか」といった、日々の業務や職場の関係性に関わる側面も、若手社員の不安の中で大きな割合を占めている可能性があると考えられます。

 

 次回は、上記のような不安に対して、メンター制度やメンタリングがどのように関わることができるのかについて考えていきたいと思います。

 

 

 

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