■ 若手社員の不安に対してメンタリングは何ができるのか
前回は、内閣府の調査結果をもとに、若手世代が働くことに対してどのような不安を抱いているのかを見てきました。
その結果からは、「十分な収入が得られるか」といった処遇面だけではなく、「きちんと仕事ができるか」「人間関係がうまくいくか」といった、日々の仕事や職場での関わりに関する不安も大きな割合を占めていることがうかがえました。
では、こうした若手社員の不安に対して、安心して話せる関係や対話の機会としてのメンタリングやメンター制度は、どのような意味を持つのでしょうか。
若手社員が抱える不安の中には、自分でも何に不安を感じているのかが整理できておらず、「何となく不安だ」「うまくやっていけるだろうか」といった漠然とした思いを抱いているケースも少なくありません。メンタリングは、そのような思いや考えについて、安心して自由に話せるよい機会となります。
話をしていく中で、自分が何に悩み、何を気にかけていたのかが少しずつ見えてくることがあります。また、「仕事の進め方が分からなかった」「期待に応えられるか不安だった」「職場の人とうまく関係を築けるか心配だった」など、不安の中身が具体的になることで、どのように向き合えばよいのかを考えられるようになることもあるでしょう。
不安は、一人で抱え込むほど大きく感じられやすいものです。そのため、安心して話せる相手がいること、すなわち自分の感じていることをシッカリと受け止めながら聴いてもらえるメンターの存在やメンタリングの場が、若手社員にとって大きな支えとなります。
メンタリングは、メンターがメンティーに対して答えや正解を与えるためのものではありません。自由な対話を通じて、自らの課題や本当に考えていることに気づく場です。
特にメンターにとって大切なのは、問題を解決しようとすることよりも、相手に関心を持ち、理解しようとする姿勢です。相手の話に耳を傾け、感じていることや考えていることを受け止めながら対話を重ねていくことで、少しずつ信頼関係が育まれていきます。
近年は、働き方や価値観の多様化が進み、若手社員を取り巻く環境も大きく変化しています。その中で求められるのは、「最近の若者はこうだ」と一括りに捉えることではなく、一人ひとりが何を感じ、何を考えているのかに目を向けることではないでしょうか。
メンタリングは、そのための大切な機会の一つとも言えます。
若手社員の定着を考えるとき、制度や仕組みを整えることはもちろん重要です。しかし、それだけではなく、一人ひとりの気持ちの部分に目を向けることも大切なのではないでしょうか。何でも安心して話せる関係の中でメンタリングを重ねることによって、自らの思いや課題に気づき、それらを整理していくことができます。
また、メンタリングにおいて大切にしたいスタンスである「相手に関心を持ち、理解しようとする姿勢」はメンターだけではなく、職場のメンバー一人ひとりがそのような姿勢を持つことによって、若手社員にとって話しやすく、安心して働くことのできる環境が育まれていきます。
若手社員の定着を支えるのは制度だけではありません。相手を理解しようとする日々の関わりが、若手社員の定着は欠かせないと言えるでしょう
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